記事紹介「エコ自転車通勤のすすめ」

2012年はエコや健康のために全国で自転車通勤の活用が広まった年でした。

さまざまな取り組みが生まれた中で、自転車通勤を「エコ通勤」と呼称し、自転車通勤を行う職員に手当を支給するだけでなく、その条件として自転車保険の加入も義務化した奈良県生駒市は先進的な事例として話題となりました。

この取り組みの詳細については、2012年10月に発売された月刊誌「時評」で「エコ自転車通勤のすすめ」と題した詳しい記事が掲載されています。

取り組みの当事者である小紫雅史 奈良県生駒市 副市長、自転車を開発し販売するメーカーからは竹内雄二 ブリヂストンサイクル株式会社 代表取締役副社長、そして自転車保険を提供する島田信之 au損害保険株式会社 代表取締役社長の3名による座談会により、それぞれの立場からエコ自転車通勤を語っています。

左より竹内雄二 ブリヂストンサイクル株式会社 代表取締役副社長、
小紫雅史 奈良県生駒市 副市長、
島田信之 au損害保険株式会社 代表取締役社長

このページでは同記事の中から au損保の島田代表取締役社長の発言を中心にいくつか記事をピックアップする形で記事をご紹介いたします。
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自治体での自転車通勤に、保険を付与するのは自然な流れ

au損害保険(以下au損保)島田社長に伺います。先ほど小紫副市長も指摘されましたが、自転車事故の急増に伴い自転車保険が注目されていると思いますが、自転車保険の動向はどのようになっているのでしょうか?

島田 社会現象としての健康・エコロジーへの関心の高まりに加え、東日本大震災以降、自転車の利便性は急速に見直されつつあります。日常生活に加え、通勤や通学における利用者の増加は、これまでもマスコミ等を通じて数多く報道されています。それに伴い、自転車事故が増加し、中でも高額の賠償金事故が少なからず発生し、対策としての自転車保険の必要性への認識が一気に高まっている状況です。
さらに、昨年秋の警察庁の通達や、行政・企業による通勤・通学時の保険付保の義務付けもあり、自転車保険への需要は非常に大きなものとなっており、自転車保険を取り扱う当社では数多くのお問い合わせを受けています。実際、自転車保険は当社の主力商品の一つですが、昨年の発売以来、順調に売り上げを伸ばしています。

au損保は、昨年五月に設立されたと聞いています。

島田 当社は、あいおいニッセイ同和損害保険㈱とKDDI㈱との合弁会社で、設立当初は、社名にもある通り、au携帯利用者三千四百万人をマーケットとしていました。「ケータイでいつでもどこでも手軽に保険加入」を事業コンセプトとし、開業記念商品として発売した100円自転車保険は、これまでなかった価格インパクトだったこともあり皆様から大好評を持って迎えられました。

確かに、100円自転車保険はインパクトがありましたね。「時評」でも取り上げましたが、マスコミからの取材要請はすごかったのではないですか?

島田 マスコミからの取材要請は約半年で百件を超えたほどです。100円自転車保険は、お客様から「au携帯以外からも保険に加入できるようにしてほしい」との声が数多く寄せられましたので、昨年九月にPCから、本年三月にはiPhoneから、九月には全社のスマホからの加入も可能といたしました。


安全・安心な自転車利用環境を構築していくためには

次に、安全・安心な自転車利用環境を構築するというのも重要なテーマの一つですが、こうした取り組みについて伺います。au損保は「スマートサイクリングプロジェクト」を提唱されていますね。このプロジェクトについて教えてください。

島田 保険は、自分自身と他者に対する備えと言えるわけですが、保険だけでは事故の減少にはつながりません。火災や自動車保険の事故削減の取り組みと同様、無事故推進運動と自転車保険の普及運動は、損保会社としての使命であるとの考えのもと、「自転車のルールとマナーを守ること」と「自転車の事故をなくすこと」を目的に「スマートサイクリングプロジェクト」をスタートさせました。開始当初は、当社とKDDI㈱の二社だけの取り組みでしたが、二社ではアプローチにも限界があり、メッセージも伝わりにくいので、一緒に取り組んでいただける企業・団体の皆様にもお声掛けをしました。今では、自転車協会様からのご後援など十九の自転車関連団体・企業、および四十一の自転車ショップな
どのご賛同を頂戴しています。プロジェクトの情報発信拠点として、専用のWebサイト「スマートサイクリングサイト」を開設し、スマートサイクリングの趣旨を七か条の宣言にまとめ、皆さまに宣言していただけるような仕組みも含め、展開しています。

生駒市では、交通ルールとマナー向上について何か取り組んでおられることはありますか?

小紫 市民向けには、地元警察署と連携し、市内の小中学校に交通安全教室を出前授業のような形で行っています。また、先ほど三人乗り自転車の話もしましたが、子育て中のお父さん・お母さん向けに、託児スペースを設けた上で、交通安全教室を受講いただくことを貸
し出しの条件にしています。
「スマートサイクリングプロジェクト」の趣旨は大賛成なので、何か連携してできればよいな、と思いました。

島田 私たちのスマートサイクリング宣言活動は、まさに「みんなで自転車ルール・マナーを守ることを広げていく」活動ですので、ぜひ生駒市とも連携させていただきたいと思います。
最近の地方自治体との連携例を上げますと、神奈川県茅ケ崎市が取り組んでいる、高校生主導による「自転車キープレフトプロジェクト第二回高校生合同会議」があります。これは、地元の高校生たちが主体的にキープレフト活動のストーリーを考え、実践していくプロジェクトなのですが、非常に面白い取り組みだと思い、このプロジェクトを取材し、スマートサイクリングのサイトの中で紹介させていただきました。

やはり、携帯電話で情報を取得し、サイトやFacebookを通じて発信できるのが「スマートサイクリングプロジェクト」の大きな特徴といえそうですね。

島田 「スマートサイクリング」のサイトにはFacebookなどを活用して多くの情報発信をしています。もちろん、自転車に乗りながら携帯電話を使用するのはルール違反ですが、「ここは非常に危ないスポットだよ」と特定された地域を情報発信するのも、GPS・バイブ機能を持つ携帯電話があれば容易に発信できるわけです。こうした携帯電話の特長を生かせば、面白い連携ができるのではないかと思います。

「スマートサイクリングプロジェクト」には、事故が頻発しやすい場所などがマッピングされ、情報発信されていると聞いていま
す。生駒市では市民向けのマップ作成を検討されているそうなので、連携の可能性はありそうですね。

小紫 実は、今日ここに来るまでは、市民のまち歩き活動などをマップ化するような、割とアナログなイメージを持っていました。携帯からの情報発信など、一歩踏み込んだITの活用という意味で、島田社長から面白いヒントを頂いたと思います。市民の視点で、有効に情報発信し、例えば「スマートサイクリングプロジェクト」と連携し、リアルタイムで発信していけば、面白いマップが出来上がるかもしれません。