【自転車通学特集】 第1回「丈夫で長持ちがいちばん」

ほぼ毎日乗り続けることになる通学利用の自転車。買い物などに比べて1度に走る距離も長く、想像を超える負担がかかります。「物を大切に」という心が育っていない年頃ですから扱いも雑になりがちで、トラブルも多発します。


お話をうかがった水村店長

今回取材させていただいたサイクルベースあさひ鹿浜店の水村店長からは、前輪を支えるフロントフォークが衝撃を受けて曲がっているのを放置していた例や、車輪のリムが歪んでスポークが何本も折れていた例、ブレーキのワイヤがほつれて断線寸前となっていた例があることをうかがいました。それでもかまわず乗り続けると、トラブルが積み重なって走行に支障が生じ、それが事故につながることもあります。フロントフォークが曲がれば思うようなハンドルの操作ができませんし、リムが歪んでいればブレーキがきちんと効きません。折れたスポークがフロントフォークやフレームに絡めば車輪がロックして前方宙返り。ブレーキのワイヤが切れればブレーキは効かず、赤信号の交差点にそのまま突入……なんてこともありえます。


サイクルベースあさひ鹿浜店
広々とした店内には、多種多様な自転車がずらりと並ぶ

もちろん、そうならないようにするにはメンテナンスが第一。前述したトラブルも、ショップで点検を受けたからこそ見つかったものです。水村店長は「3カ月に1回が理想。最低でも半年に1回は点検を受けてほしい」と語ります。とはいえ勉強やスポーツ、課外活動に忙しい中高生にそれを求めても難しい現実があります。となると転ばぬ先の杖、仮に点検を受ける間隔が空いてしまっても、トラブルが生じにくい自転車を選ぶことが大切になります。こうした自転車は一般に高価ですが、修理に要する費用もバカになりませんから、結果的に安くつくことにもなります。 最低限のメンテナンスでも大丈夫かどうかは、自転車の部品を見ればわかります。それぞれの部品について、以下で解説していきましょう。

メンテナンスの楽な内装式変速機

平坦な通学路であれば変速機はいりませんが、アップダウンがあるようだと元気な中高生でも変速機が必要になります。この変速機は内装式と外装式に大別されます。変速機なしを含めたそれぞれの特徴は表をご覧ください。変速機がむき出しの外装式は汚れたりサビたりしがちですから、やはりメンテナンスの手間がかからない内装式がよいでしょう。また、内装式なら停車中も変速できるので、走り出しはいつも軽やかです。 一般的に変速機は段数が増えるほど変速はなめらかになり快適に走れるようになりますが、その一方で価格は上がります。アップダウンや信号などの通学ルートを考慮して必要な段数を選びましょう。

変速機の種類と特徴

伸びたり切れたりすることが少ないベルトドライブ

ペダルの回転を後輪に伝えるものといえばチェーンが当たり前でしたが、最近ではベルトを使った自転車も登場しています。ベルトドライブは注油が不要で、伸びたり切れたりすることもまずありません。また、オイルによる衣服の汚れは皆無で音も静か。足にかかる負担も軽減されてと、まさにいいことづくめです。ただ、ベルトドライブの自転車は選択肢が限られますし、人によっては「もっと踏み応えのあるほうがいい」と感じることもあるでしょうから、その場合はチェーンドライブを選ぶとよいでしょう。また、外装式変速機の場合はチェーンドライブに限られます。

耐久性、安全性の高いローラーブレーキ

走行時の安全を支える最も大切な部品がブレーキですが、目立たない存在だからでしょうか、どんなものが付いているか意識されることは余りないようです。ブレーキを選ぶ際の欠かせないポイントは音鳴りの有無。音鳴りは単にうるさいというだけでなく、必要なブレーキ操作をためらう理由にもなります。今は音鳴りがしにくく、軽く握ってもよく効くローラーブレーキが大半になりましたから、それが判断基準のひとつとなります。

仮に音鳴りがした場合も、ローラーブレーキならグリスを注すだけでほとんど収まってしまいます。それまで主流を占めていたバンドブレーキは、油分がついたとき音鳴りがしやすく、しかも油分を取り除いてもやまないときがあります。そうなるとブレーキ本体を交換するしかありません。

耐パンク性を向上させたタイヤ

発生するトラブルの代表格ともいえるパンクも、未然に防ぐことができます。それは接地部の厚みを増したタイヤや、接地部を貫通しにくい素材にしたタイヤを選ぶこと(両方を兼ね備えたものもあります)。ただし厚みを増しただけのタイヤは重量も増し、軽快感が損なわれてしまいます。やはり多少高価であったとしても、接地部を貫通しにくい素材にしたタイヤがいいでしょう。

また、ちょっとした気配りをするだけで、パンクの発生を減らすこともできます。ひとつはタイヤの空気圧を適正に保つこと。空気の抜けたタイヤは抵抗が増し、乗り心地が劣るだけでなく、段差にぶつかったとき中のチューブがはさまれて穴が開いてしまいます。もうひとつはパンクしにくい走り方をすること。前述した段差や、パンクの原因となるガラスや金属の破片がたまりやすい道の端を避けて走ればいいわけです。また、直射日光や水分によってタイヤのゴムが劣化しますから、屋根のある駐輪場に自転車を置き、それらを避けることも必要です。

通学の行き帰りにタイヤがパンクしてしまうと、学校に遅刻したり帰宅が遅くなったりします。それですめばよいですが、下り坂の途中で前輪がパンクしようものなら、自転車はコントロールを失ってとても危険な状態に陥いるため注意しましょう。

次回

次回は雨天や夜間、盗難といった特別な状況を踏まえたうえで、必要とされる装備について考えてみましょう。