「輪行」で自転車の可能性を広げよう:第3回 船や飛行機、バスで「輪行」してみよう

前回は鉄道での「輪行」をご紹介しましたが、「輪行」が可能なのは鉄道だけではありません。他の公共交通機関でも「輪行」が可能な場合もあります。今回は鉄道以外での「輪行」についての情報やノウハウをお伝えします。

船の場合

電車よりもスペース的に余裕がある船では、多くの場合「輪行」は可能です。しかし、そのルールは各社、各路線によりさまざまなので事前に確認が必要となります。袋に収納せず自走可能な状態で運ぶことができる場合もあれば、貨物室に預かりとなる場合もあります。

船は電車以上に揺れる場合があります。貨物室預かりになる場合はもちろんですが、手回り品として持ち込む場合でも、揺れで転倒や破損が起きないように固定できる準備はしておきましょう。また、一部の船では甲板に自転車を乗せて運行する際に海水を被ることもあります。輪行袋に収納しておけば問題ないでしょうが、自走可能な状態で甲板に乗せる場合は海水を被る可能性があるか確認しておきましょう。

飛行機の場合

飛行機の場合、手荷物として機内に持ち込むことはほぼできませんが、カウンターで預けて運んでもらうことは可能です。ただし、小型機では貨物スペースの都合で断れる場合もありますし、中大型機でも輪行袋に収納した状態では預かってもらえず、自転車用の収納ケースが必要となることが多いようです。

飛行機で自転車を運ぶ場合は電車や船以上に交通機関への事前確認が必要でしょう。

TIPS
飛行機に自転車を積み込む場合は、必ずタイヤの空気を抜いた状態としましょう。
飛行機の貨物室は上空で気圧が下がるため、空気を入れたままではパンクしてしまいます。
パンク自体も悲しいことですが、パンクがきっかけで他者の荷物まで破損させてしまうと大事です!

バスの場合

ここでは長距離バスについてご説明します。

残念ながら、長距離バスについては2015年の時点では多くの会社で「輪行」には対応していません。一部の事業者は「輪行」をOKとしていますが、その制限は電車よりも厳格であることが多い様です。(電車ならば前輪を外しただけの解体でOKだが、バスの場合は前後輪を外さないとダメ、など)

バスを利用して「輪行」を考える場合は、利用するバス会社のWebサイトなどで必ず「輪行」の可否とそのルールを事前に確認するようにしましょう。

3回にわたり、「輪行」についてご紹介してきました。
「輪行」は自転車の可能性を広げるとても楽しい移動方法であるため、詳しく説明したWebサイトや体験記なども多数公開されています。

今回の特集で興味を持たれた方は、「輪行」の経験者の情報も参考に、ぜひ「輪行」を体験してみてください!

「輪行」で自転車の可能性を広げよう:第2回 電車で「輪行」してみよう

前回は「輪行」の基礎知識を簡単にお伝えしました。
今回は「輪行」でもっともポピュラーな電車の利用について、詳しくお伝えします。
ルールを学んで、「輪行」を体験してみてください。

JRの場合

「輪行」についてJR各社は統一のルールを持ち、ルール内での持ち込みは無料となっています。

ルールの根拠となるJR各社の手回り品に関する規則の中から「輪行」について記されている部分を抜粋すると、以下の3点がポイントになっていることが分かります。

 


「列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り」

「3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、その重量が30キログラム以内のものを無料で車内に2個まで持ち込むことができる。」

「自転車にあつては、解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であつて、折りたたんで専用の袋に収納したもの」

一見すると具体的な状況がよく分からない「列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り」という項目。分かりやすい例を示すと、混雑時には「輪行」が断られることを意味します。混雑時だけでなく交通機関側の判断で輪行NGなさまざまなケースが考えられるため状況に応じて駅員に確認することが必要となります。

「専用の袋に収納」は「輪行」のルールのもっとも大事なポイントです。収納の意味することは自転車が完全に袋の中に収まっていることです。輪行袋を使い、サイズが規定内に収まっているからといっても、ハンドルやサドルなど一部が収納できていなければルール違反となります。また、「専用の袋」と記されているので、仮にきちんと収納されていたとしても、ゴミ袋などはNGです。同様にいくら小さく畳める折りたたみ自転車でも、輪行袋に収納されていなければ持ち込むことはできません。

解体については前回の記事をご覧ください。仮に解体や折りたたみせずにサイズ内に収まる自転車でもあっても、解体や折りたたみができなければ「輪行」はできないことがポイントとなります。

私鉄など

JR各社は統一した輪行のルールを持っていますが、私鉄は各社それぞれのルールで「輪行」を許可しています。有料となる場合もあるので、輪行する場合には事前の確認が必須です。

サイクルトレイン

「輪行」とは少しことなりますが、自転車を分解したり、収納せずにそのまま載せられる場合もあります。観光のためや地域住民の利便性のためなど、目的はさまざまで運行形態も限定された時間のみ、という場合もあります。
サイクルトレインはうまく活用できれば、とても楽に自転車を運ぶことができます。対応している鉄道会社は多くはありませんが、事前に情報収集しておきたいですね。

次回は鉄道以外の公共交通期間についてご紹介します。

「輪行」で自転車の可能性を広げよう

「自転車の日」では自転車の乗り方や交通ルールなど、自転車を安全で快適に乗りこなすための情報をご提供していますが、自転車を楽しむための情報はあまり発信してきませんでした。
今回は自転車を最大限に楽しむために、自転車を公共交通機関で運ぶ「輪行」について3回にわたりご紹介します。

「輪行」を活用し、自転車の可能性を広げてみてください!

「輪行」で自転車の可能性を広げよう:第1回 交通機関に自転車を乗せる「輪行」を活用しよう

「自転車の日」では自転車の乗り方や交通ルールなど、自転車を安全で快適に乗りこなすための情報をご提供していますが、自転車を楽しむための情報はあまり発信してきませんでした。
今回は自転車を最大限に楽しむために、自転車を公共交通機関で運ぶ「輪行」について3回にわたりご紹介します。

「輪行」を活用し、自転車の可能性を広げてみてください!

輪行とは

「輪行」とは、自転車を公共交通機関に手回り品として持ち込み、運送することを示す言葉です。もともとは競輪選手が全国の競輪場を巡るときに、自転車を手荷物として電車に乗せることを「輪行」と呼んでいたのですが、その言葉が一般化され今に至っています。

「輪行」を活用すれば、自走では厳しい遠距離へマイ自転車とともに出かけ、旅先で快適な走行を楽しむことができます。他にも、突然の雨で自走を諦めた場合でも「輪行」で帰宅するなど、「輪行」をうまく使うことで自転車の可能性はさらに広がることでしょう。

輪行のルール

便利な「輪行」ですが、守るべきルールもあります。もともとは全国の競輪場を巡って自走移動する競輪選手とJRとの間で取り決められたルールなのですが、「輪行」が一般にも開放された現在は私たちも以下のルールに従って「輪行」する必要があります。

  • 輪行袋に入れる
    「輪行袋」と呼ばれる専用の袋で自転車がすべて包まれた状態とすること。
    「輪行袋」はさまざまなタイプが販売されています。ロードバイクやクロスバイク向けには前輪だけ外して収納するもの、前輪・後輪ともに外して収納するものなどさまざまです。
    もちろん、折りたたみ自転車用の輪行袋もあります。
    輪行袋に自転車を収納するには、ちょっとしたコツが必要です。
    自転車の種類、輪行袋の種類によって収納方法が変わりますので、収納袋付属のマニュアルやWebなどで収納方法を学んでから収納しましょう。

  • サイズ制限
    縦・横・幅の寸法の合計が250cm以内であること。また、合計が250cm であっても1辺が200cmを超えてはいけません。

  • 分解、折りたたみ
    前輪または前後輪を外して収納するか、折りたたむ必要があります。
    小さい子供用自転車でサイズが規定以下に収まったとしても、分解できなければ「輪行」はできません。
    また、構造上車輪を外すことが難しいシティサイクル(ママチャリ)での「輪行」は事実上不可能です。

以上が「輪行」の基本的なルールです。
ルールは交通機関によって異なる場合があります。詳しくは次回以降で説明しますが、「輪行」を行う際は利用する交通機関のルールを事前に調べることをお勧めします。

必要なもの

「輪行」の基本的なルールをお伝えしましたが、実際の「輪行」には輪行袋以外にも準備しておくべきアイテムがあります。

  • エンド金具
    エンド金具は車輪を外したフォークを保護するものです。車輪を外したフォークに取り付けることで、フォークの変形や損傷を防ぎます。後輪を外した場合、エンド金具はチェーンが絡まることを防ぐ役目も持ちます。

  • チェーンカバー、フレームカバー
    輪行袋に収納した自転車のフレームを保護したり、チェーンによる汚れを防ぐためのカバーです。

  • タオル
    特に保護したい部分を包んだり、汚れを拭いたりと、あると何かと便利です。

  • ベルクロバンド、結束バンド
    外した車輪を固定したり、ハンドルを固定するために使います。
    ベルクロバンドが便利ですが、ない場合は結束バンドでも代用は可能です(あとで切断する手間がかかりますが)。

 
 
以上が「輪行」の基礎知識でした。次回以降は実際に「輪行」する際のルールをお伝えします。

新しくなった自転車のルールを知っておこう

2013年12月1日、自転車のルールが変わりました

免許が必要なく気軽に乗れる自転車ですが、法律上は軽車両として扱われ、「道路交通法」という法律でさまざまなルールが定められています。この「道路交通法」が2013年12月1日に変わりました。

正確には、法律そのものはもっと前に変わっていましたが、2013年12月1日から施行、つまりルールが適用されるようになったのです。

新しい道路交通法が施行されてから早くも2ヶ月ほど経過しましたが、その間に多くの方が疑問に思ったであろうことを、このトピックでは新しいルールの概要とともにお伝えします。

新しい自転車のルール

まずは12月1日から施行された新しい自転車のルールの紹介です。

自転車の検査等に関する規定の新設
これはブレーキに関するルールです。新しいルールでは「警察官は、内閣府令で定める基準に適合するブレーキを備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがあると認められる自転車が通行しているときは、停止させてブレーキを検査できる」ことになりました。

簡単に言えば、ブレーキがなかったり、壊れている自転車に対して警察官がストップをかけられるようになったということです。さらに、警察官はその場で応急措置を命じることもできますし、応急措置ができない場合は、その自転車に乗ってはダメと命じることもできるようになりました。このルールに違反した場合の罰則も作られ、検査を拒否したり、応急措置の命令に違反した場合は5万円以下の罰金が科せられることにもなりました。

軽車両の路側帯通行に関する規定の整備
このルールは、「左側走行」を徹底するものです。正確には、「自転車等の軽車両が通行できる路側帯は、道路の左側部分に設けられた路側帯に限る」とされ、かなり強い表現で左側通行を命じています。
このルールにも、違反した場合は3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金という厳しい罰則が作られています。

第2回に続きます。

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特集【安全で快適な自転車通学のために】

国土交通省都市計画調査室のパーソントリップ調査によると、自転車通学をする学生や生徒は東京都市圏で12.1%(平成10年)、金沢都市圏で18.4%(平成7年)、香川・高松都市圏では30.5%(平成11年)に達します。それだけ多くの学生や生徒が通学に自転車を利用しているためなのか、ルールやマナーを守らない危険な走行をよく見かけますし、大切な足であるにもかかわらず、自転車はとても粗末に扱われているようです。
(出典:国土交通省都市計画調査室 都市交通調査概要

そこで自転車通学をする中高生のいる親御さんに向け、自転車通学に適した自転車の選び方や最低限守らせたいルール、いざというときの備えとなる自転車保険などについて全5回の連載でまとめてみました。

第1回 「丈夫で長持ちがいちばん」(2013/04/24)
第2回 「雨天や夜間、盗難に備えた装備を」(2013/05/02)
第3回 「今さらだけど、自転車の乗り方の基本を学ぶ」(2013/05/09)
第4回 「通学路に潜む危険を事前に察知」」(2013/5/28)
第5回 「自転車が加害者になることも。備えとなるのは自転車保険」(2013/7/9)

自転車保険はau損保

【自転車通学特集】 第5回「自転車が加害者になることも。備えとなるのは自転車保険」

増える自転車対歩行者の交通事故

第3回で示した通り、自転車は車道の左端走行が原則。
仮に自転車の通行が認められた歩道であったとしても歩行者が優先で、近くに歩行者がいるときは徐行しなければなりません。
にもかかわらず、われ関せずと疾走する自転車の姿は目に余ります。

結果、交通事故全体が減少傾向にあるなか、自転車対歩行者の事故は10年前との比較では1.5倍、近年でも横ばいが続き(1807件/平成13年→2496件/平成16年→2801件/平成23年)、交通事故全体のなかで占める割合も増しています(18.5%/平成13年→20.8%/平成23年)。

賠償額が5000万円を超える判決も

自転車対歩行者の交通事故で相手が死亡や重い後遺障害を負った場合は、高額の賠償が求められことを肝に銘じましょう。これは加害者が中高生であっても例外ではありません。裁判例ではおおむね中学生以上なら責任能力があるとされ、平成17年の横浜地裁の判決では、事故を起こしたとき高校生だった被告に5000万円の支払いが命じられました。

最新事例(2013/7/17)
小学5年生(事故当時)の男児が下り坂を時速20~30kmで走行して67歳(事故当時)の女性をはね、この女性が意識不明となった事故をめぐる訴訟では、平成25年7月4日に神戸地裁が「自転車の走行方法に関して十分な指導や注意をしていなかった」として、男児の母親に9,520万円の支払いを命じる判決を言い渡したばかりです。(MSN産経ニュースwestより)

いざというときの備えとなる自転車保険

クルマやオートバイを運転する場合は、法律に基づき自賠責保険への加入が義務づけられており、いざという場合に死亡で3000万円、後遺障害だと4000万円までが支払われます。一方、自転車にはそのようなルールがありませんから、前述した高額の賠償金をすべて自己負担で支払わなくてはなりません。本人に責任能力がある場合には、親の監督責任が問われることはまずありません。しかし、わが子が重い負担を抱えてこれからの人生を送るのを、黙って見過ごせる親はいないでしょう。

このような悲劇を招かないためにも自転車保険は重要です。自動車保険と比べて保険料は低額で、被害者への賠償責任や、本人がケガを負って入院・通院したときの費用を補償してくれるものもあります。

おわりに

以上5回にわたり、自転車通学をするお子さんをもつ親御さんの心得を述べてきました。

◆安全で快適に乗るために、自転車の整備を欠かさない
◆自転車はクルマだから、交通ルールやマナーを守るのは当然
◆それでも起きてしまった事故には、自転車保険で対処する

この3点を親子ともども肝に銘じておきさえすれば、お子さんを安心して学校に送り出すことができます。折に触れ、この連載記事をご覧いただければ幸いです。

自転車保険はau損保

【自転車通学特集】 第4回「通学路に潜む危険を事前に察知」

安全な自転車通学をするためには、正しい自転車の乗り方を身につけるとともに、危険が少なく走りやすい通学路を選ぶことも肝心です。今回は通学路にはどのような危険が潜んでいるのか、それを避けるにはどうすればいいのかを解説していきます。

子供と一緒に走って通学路を点検

お子さんがどの道をたどって学校に向かっているかをご存じですか? これは自転車通学に限らず、いざというときのため知っておくべきでしょう。

事前に地図を使っておおよその経路を定めたら、実際に自転車にまたがって出発進行!交差点やカーブ、坂道や交通量の多い道、狭い道や街灯のない暗い道など、通学の際に注意すべきポイントをチェックします(あわせて正しい走り方を教えられるといいですね)。そのうえで経路を改めて検討し、変更が必要なところがあれば修正。このようにしておけば、「今日はちょっと帰りが遅いな」と心配になったときも、通学路がわかっているわけですから、自動車で迎えにいくこともできるので安心です。


親子で通学路をいっしょに走り、危険な箇所を確認する

走るのは幹線道路、それとも生活道路?

通学路として幹線道路と生活道路のどちらを選べばいいのか、これはなかなか悩ましい問題です。それぞれの特徴を表にまとめてみましたので参考にしてください。

どうでしょうか? 生活道路は車両の速度が比較的遅いため、なんとなく安全だと思いがちですが、脇道や建物からの急な飛び出しや信号機のない交差点での出合い頭の衝突などを考えると、必ずしもそうは言えません。実際にはいくつかの経路を走ったうえで、総合的に判断するのがいちばんでしょう。


生活道路は交通量は少ないものの、脇道から歩行者や自動車が飛び出すことも


道幅が広く見通しが利きさえすれば、幹線道路だから危険とは限らない

自転車事故の7割は交差点

交通事故総合分析センターの調査によると、自転車事故の7割は交差点で発生しています。その中でも特に多いのが、歩道を通行する自転車が交差点に差し掛かったときに自動車と衝突するものです。これはどうしてでしょうか?

車道と歩道の境はガードレールや電柱、街路樹などで遮られていることが多く、そのため車道からは歩道を走る自転車がよく見えません。そのため、ドライバーにしてみれば、交差点に進入した自転車が「突然あらわれた」ように見えるのです。一方つねに車道を走行していれば、交差点に進入する前から自転車の姿がドライバーの目に入っていますから、未然に衝突を避けることができます。このように自転車の車道走行は、自身の身を守るためにも必要だということですね。


歩道を走行する自転車は、遮られてしまってよく見えない


車道を走行する自転車は、ドライバーからはっきり視認できる

早く学校に着かなければと焦る気持ち、これが通学時に交通事故を招く最大の要因です。気持ちがそのことに集中して安全確認がおざなりになり、いつもなら慎重になる交差点にも「大丈夫だろう」と一時停止もなく進入してしまう(ひょっとしたら赤信号を無視することも……)。駐車車両を無理に追い越し、下り坂では猛スピード。これでは事故を起こさないほうが不思議というものです。こんな羽目に陥らないよう、朝は決まった時間に起きる習慣をつける。これは何も、安全な自転車通学のためだけではありませんよね。

次回

交通弱者と見なされる自転車も、場合によっては加害者になります。相手に重大な損害を与えれば、たとえ中高生であっても高額な賠償責任を免れません。次回は自転車がらみの事故の現状と、いざというときの備えとなる自転車保険について解説します。

自転車保険はau損保

【自転車通学特集】 第3回「今さらだけど自転車の乗り方の基本を学ぶ」

中高生は自転車に乗れるようになってから、かなりの月日が経っています。そのため、自分の体の一部と思えるくらい、自然に自転車に乗っていることでしょう。しかし、ドライバーや長く自転車に乗り続けている人間から見ると、自転車に乗る中高生はとても危うく思えます。それは速度も運動特性も異なる交通手段が入り交じった道路において、他者に対する配慮を欠いた振る舞いをする自転車がとても多いからです。

神奈川県茅ケ崎市で市民と行政が協働して推進している『ちがさき自転車プラン・アクション22』の益田代表も、「朝の通学時間帯に自転車通学する生徒さんが集中するため、横並びで走る光景が多くみられます。さらに、雨が降ると傘を差して自転車に乗るお子さんも出てくるため、歩行者の顔に傘が当たりそうになった事例もありました」と語ります。

これまで自転車は交通弱者とされ、ルールやマナーを破っても大目に見られてきました。しかし、近年はとりわけ歩行者に危害を与える行為に対し、厳罰が下されています。これは未成年であっても同様です。今回は自身にとっても、そしてまわりの人にとっても安全な乗り方を改めて解説していきます。

意外と知らない正しい発進の仕方

まず最初にご紹介するのは、正しい発進方法です。
一番大切なことは周囲の状況を見極めるため、発信する前(できれば停止する前も)に後ろを振り返って、安全を確認することです。

また、中高生に限らず自転車に乗る人の多くが、片足をペダルに載せ、もう片足で地面を何度か蹴りながら自転車を発進させていることでしょう。いわゆる〝ケンケン乗り〟です。この乗り方は自転車にまたがってペダルをこぎ始めるまでは自転車がふらつきがちで、後方からオートバイや自動車が近づいてきたとき接触する恐れがあります。

今回は意外と知られていない正しい乗り方を順番ご説明してみましょう。
① 発進する前に、まず後方を確認する
② サドルに腰掛けないで自転車のフレームをまたぎ、片足をペダルに載せます。
③ ペダルを踏み下ろしながらもう片方の足で地面を蹴ります。そうするとすぐにスピードが上がって自転車はふらつきません。
④ 踏み下ろした足と両手を支えにヒザとヒジを伸ばせば、お尻は自然とサドルに収まります。

停止するときはその逆です。
① ブレーキをかけてスピードが落ちたら、ペダルから離した片足を前に伸ばします。
② お尻を前にずらしながらペダルから離した足を地面に下ろします。
③ しっかり止まったら、もう片足も地面に着きます。


発進する前に、まず後方を確認する


ペダルを踏み下ろしながらもう片足で地面を蹴る


踏み下ろした足と両手を支えにヒザとヒジを伸ばせばお尻は自然とサドルに収まる

ブレーキをかけるときは前後いっしょに

携帯電話を操作しながらの片手運転……などというのは論外ですが、両手でハンドルを握っている場合でも、片方のブレーキしか利用していない人はいるのではないでしょうか。ブレーキは前後いっしょにかけることで必要な制動力が得られるよう作られています。ですから特に雨天の場合など、片方のブレーキだけでは自転車が思うように止まってくれません。

だからといってブレーキを思い切りかけると車輪がロックし、後輪なら車体が左右に振れて転んでしまったり、前輪なら下手をすると前転宙返りする羽目になります。


ブレーキは前後いっしょにかける

右左折と進路変更の際は、必ず後方を確認

前を走る自動車がウィンカーを出さずにいきなり進路を変え、ヒヤッとした経験はありませんか? 自転車も右左折や進路変更をする際には手信号を出すことになっていますが、ごく一部の人を除いてそれは守られていません。つまり多くの自転車は、ウィンカーを出さない自動車と同じ状態で走行しているわけです。

本来、後ろから近づいてくる自動車やオートバイとぶつかるのを避けるには、手信号を出してこちらの意志を伝えるのがベストです。とはいえ手信号を出している間は片手運転になってしまうというリスクもありますので、一足飛びにそれを望むのは難しいでしょう。となると最低限やるべきなのが、右左折や進路変更をする前に後方を確認すること。障害物をよけたり駐車車両を追い越したりするときは必ず実行しましょう。そして、近づいてくる車両を確認した場合は必ず停止。仮に優先権がこちらにあったとしても、ぶつかってケガをするのもこちらです。おとなしく譲るに越したことはありません。


右左折や進路を変更する際は、必ず後方を確認する

自転車は車両。車道の左端走行が原則

本来自転車は自動車と同じ車両ですから、歩道ではなく車道を走行するのが原則です。しかし、日本では交通事故の死者数が1万7000人近くとなり“交通戦争”と呼ばれた1970年代、緊急避難として一部の歩道走行が認められました。そして、年が経つにつれ例外とされていたものが逆転、現在は自転車が歩道を我が物顔で走行するようになっています。

その結果、交通事故全体が減少傾向にあるなか、自転車対歩行者の事故は10年前との比較では1.5倍、近年でも横ばいが続き、交通事故全体のなかで占める割合は増しています。さすがにこの状況を看過することはできなかったのでしょう。平成23年に警察庁は通達を出し、「自転車は原則として車道を通行する」ことを徹底する方針を打ち出しました。これは報道でも大きく取り上げられましたので、記憶にある人も多いでしょう。

もちろん、今でもおよそ4割の歩道は自転車の通行が許可されていますし、それ以外の歩道も高齢者や子どもについては歩道の走行が認められています。しかし運動能力に優れた中高生が運転する自転車は、車道の左端を走行すべきでしょう。歩道では歩行者との速度差によって、むしろ事故の加害者になりえます。

そうすれば同じ車両である自動車やオートバイが、信号を無視したり右側を逆走したり、無灯火で走行することがないことにも気づきます。自転車が車両であることを自覚して車道を走ってこそ、交通ルールも身につくのではないでしょうか。

前述したちがさき自転車プラン・アクション22の益田代表も、「市内の高校生がおのずと交通ルールの大切さに気づくよう努めています。そのため車道の左端走行を守ろうというプレートや、思わず着たくなるレインウェアを高校生自身にデザインしてもらいました。今ではそれが車道右側の逆走や傘差し走行の減少にひと役買っています」と語ります。


最も危険な車道の逆走。正面衝突したら互いに大ケガすることになる

次回

お子さんが毎日利用する通学路には、できるだけ安全な道を選びたいものです。次回は通学路にはどのような危険が潜んでいるのか、それを避けるにはどうすればいいのかを学びましょう。

自転車保険はau損保

【自転車通学特集】 第2回「雨天や夜間、盗難に備えた装備を」

前回は日常の走行に伴う事例を挙げて、それぞれの部品が最低限のメンテナンスでも大丈夫かどうかを解説しました。今回は雨天や夜間、盗難といった状況を考えた場合、どのような自転車なら手間をかけずに対応できるかを述べましょう。さらにメーカーやショップが提供する補償制度についても簡単に紹介します。

サビにくいステンレス製やアルミ製のフレーム

数多くの金属部品で構成された自転車を購入時と変わらぬ状態に保つには、水に濡らさないことが第一。自転車を置く際も、屋根のあるところを選びたいものです。それでも濡れてしまった場合は、すぐに布で拭き取ってあげましょう。

ただ、そうはいっても頻繁に利用される自転車は雨ざらしにされることが多々あり、サビついた姿をさらしていることも珍しくありません。サビは見た目が悪いだけでなく、金属の内部に進行すると破損を招いてしまうことがあります。

それを防ぐには、フレームの素材を気にする必要があります。同じ金属でもスチール製に比べてステンレス製やアルミ製のフレームはサビにくく、しかもアルミ製なら軽いのも特徴です。できるだけ雨ざらしを避けつつも、「絶対に濡らさない!」と断言できない以上は、こうしたフレームの自転車を選んだほうがいいでしょう。

点灯&消灯の手間がかからないハブダイナモ&オートライト

日が落ちた下校時など、無灯火で走行する自転車を見かけることがあります。この理由としてはダイナモによって走行時の負荷が増すことや、単にダイナモを倒すのが面倒くさいなど色々あるのではないかと思います。

街路灯が整備された都市部では意外と路面が明るいこともあって、乗っている本人は気にならないのかもしれませんが、ドライバーや歩行者にしてみれば、暗闇にいきなり姿を現すわけですから大変危険です。

ハブダイナモ&オートライトを備えた自転車なら、周囲の明るさを感知して自動でライトをオン&オフをしてくれるので、無精な人でも手間いらず。さらに、走行時の負荷も軽く気になりません。

明るくて電球切れの心配がないLEDライト

前述したハブダイナモ&オートライトにも使われるLEDは、家庭用と同じく消費電力が少ないうえに明るく、しかも球切れがないということで、電池式や充電式のライトにも幅広く使われています。ネックとされたコスト高も解消し、今やLED以外のライトを選ぶ理由はありません。

また、後方から近づく自動車に自転車の存在を知らせるには、法規上は反射板があればいいわけですが、みずから発光するテールライトなら、より明確に認識してもらうことができます。テールライトに用いるLEDはフロントライト以上に消費電力が少ないため、もっぱら電池式や充電式が使われていますが、太陽電池式のものもあります。

盗難防止効果の高いハンドルロックもしくはワイヤーロックの併用

平成23年度における自転車盗の件数は33万7569件。減少傾向にあるとはいえ、依然として1日に1000台近い自転車が盗まれていることになります。治る可能性の高い故障とはちがい、すべてを失ってしまう盗難では新しく買い直すしか方法はありません。その盗難を防ぐ最善の方法が二重の鍵をかけること。家の鍵と同様で開ける(壊す)のに時間がかかれば、それだけ盗難防止効果が高まります。もともと付いている鍵とワイヤーロックを併用するのが最も簡便な方法になりますが、面倒なことですからお子さんはやりたがらないでしょう。となると壊しにくい頑丈な鍵の付いた自転車を選ぶことになりますが、それ以外に最近では、1回の操作で後輪とハンドルの2カ所に鍵をかける自転車もでてきています。こうした自転車には3年間の盗難補償がついているものもあるので、高価であってもその分の価値はあるかもしれませね。

メーカーやショップが用意する制度の積極的な利用を

ここまで自転車本体の選び方について述べてきたわけですが、サイクルベースあさひ鹿浜店の水村店長は「定期的なメンテナンスを受けていれば、安い自転車でも長く乗り続けられる」とおっしゃいます。
無料点検サービス、盗難補償や傷害保険など、メーカーやショップによって独自のサービスを提供していますので、この辺も自転車購入時に調べてみると良いでしょう。


部品のゆるみをチェックする水村店長

次回

交通事故全体の件数が減少するなか、自転車が関連する交通事故の件数はなかなか減りません。特に自転車対歩行者の交通事故は、10年前の1.5倍に達しています。
(出典:警察庁交通局交通企画課 自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状

次回は、知っているようで知らない自転車の正しい乗り方を学びましょう。

自転車保険はau損保